ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「白井くん、一旦出よう?」

そう言うと、白井くんは辛そうな表情なのに首を横に振る。

「……大丈夫。このくらい…なんでもない。」

明らかに何でもあるだろうに、なんでこんなに意地を張るのか…

「…倒れたら他の先生方にも迷惑をかける。……また見学は出来るし体調悪いなら休みなよ…」

意地でも頷こうとしない白井くんに半ば呆れつつ、どうしたものかと困っていると、陽向もこちらの様子に気付いたようで声をかけてきた。

「…どうした」

「……白井くんが具合悪そうで。」

そう言うと、陽向は露骨に嫌そうな顔をするものの、ため息をついて白井くんに近付く。

「おい、しんどいなら医局戻ってろ。…そんなふらふらで見てても頭に入らないだろ。」

少しキツイ言い方だが、なんだかんだ陽向も白井くんを心配しているのがわかる。

2人にまで言われてしまい、参ったのか、もう体力的にもしんどくなってしまったのか、白井くんはヘナヘナと床に座り込んだ。

「おいそこ、どうした。」

やば

さすがに、先生方にも気付かれてしまったようだ。

「すみません。1人体調悪そうなので、一度抜けてもよろしいでしょうか。」

ここは素直に言った方がいいな。

白井くんは、休んでもらって俺は白井くんを送った後にまたすぐ戻ってくればいい。

「……わかった。」

「ありがとうございます。」

先生方にお礼を言い、俺は白井くんの手を引き一度手術室を抜け出した。
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