ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
リビングに戻ると、みんなもう既にご飯を食べ終えていた。

葉月か柚月が望笑夏の食器まで下げてくれたようで、食卓の上は片付いていた。

登校も登園もまだ少し時間に余裕がある。

でも、遅刻する訳には行かないので我が家のルールとしては準備を終えてから自由時間ということにしていた。

正直、望笑夏だけだと、そのルールが守られることは無かった気がするが、柚月のおかげでそこは解決する。

柚月は自分だけでなく、望笑夏にも声をかけて準備をしてくれる。

望笑夏もお兄ちゃんが大好きだから言うことを聞く。

その様子に安心しながら、食卓テーブルを拭いたり、食器を洗ったりする。

そうしていると、今度はバタバタと走ってくる音が聞こえた。

この慌ただしさは、あらかた葉月だろう。

「ママ!!」

そう思っていると、案の定葉月が焦った顔で走ってきた。

「今日図工でペットボトル使うの忘れてた…、ペットボトルある?」

「ペットボトル?ええ、あるかなあ…」

子どもはいつも唐突だ。

仕方なく、今日出す予定だったゴミ袋を開けると、ひとつだけペットボトルが残っていた。

取り出して、もう一度軽く外側を洗ってから水気を取って葉月に渡した。

「そういうのは、前の日までに言ってね。急に言われても、なかったら困るでしょ?」

「うん。ごめんね、ありがとう!」

そうニコッと笑われると、強く叱るに叱れなくなってしまって苦笑いをする。

柚月と同じクラスだったら良かったものの、双子は必ず別のクラスにいれられるらしい。

だから時間割も違うから、柚月のしっかりものが発揮されないのだ。

本当に葉月はおっちょこちょいなんだから。

柚月は少し慎重過ぎるところがあるから、2人で足して二で割ってくれたらいいのに。

そう思って少し笑ってしまった。
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