ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「なあ、北斗。一緒に、クリニック開かないか?」
兄さんに『大事な話がある』と言われ、呼び出された時だった。
「え」
兄さんはとても真剣で、でも凄く優しい顔をしていた。
「で、でも兄さん、父さんのクリニックはどうするの…?父さんは、兄さんに跡を継いで貰いたいと思っているだろ……?」
「うん。でも、そっちは断る。もしくは、いつか父さんが引退する時に、俺がやりたいことが達成出来ていたら、そっちのクリニックを継ぐことにする。」
とても兄さんらしい発言だった。
兄さんはいつもそう。
自分の理想を追いかけて、全て叶えちゃうんだ。
今回もそうなるだろう、と予測は簡単だった。
でも、それよりも……
「なんで、その話俺にしたの?」
”一緒に”俺の聞き間違えじゃなきゃ、兄さんは確かにそう言った。
「なんで、って、そりゃあ俺がお前と一緒にやりたいと思ったからだよ。北斗は嫌?」
「嫌も何も、俺は麻酔科を目指して………」
そこまで口にして気付く。
元々麻酔を目指したのは名誉のためだった。
医師の中でも、難関とされる麻酔科医になって、みんなに認められたかった。
でも、今は……
「兄さん」
「ん?」
今の俺がやりたいこと
「俺にも、俺みたいに”心”で苦しむ人を助けてあげられるかな……」
語尾が震えた。
初めて、誰のためでもない自分のために何かをやりたいと、強く思った。
それが、これ。
「うん!できる!ていうか、むしろ、北斗だからこそ同じ立場の人の心を理解して、解してあげることができるはずだよ。」
俺の頭をぽんぽんと撫でる兄さんの手は相変わらず大きくて、とても暖かかった。
兄さんに『大事な話がある』と言われ、呼び出された時だった。
「え」
兄さんはとても真剣で、でも凄く優しい顔をしていた。
「で、でも兄さん、父さんのクリニックはどうするの…?父さんは、兄さんに跡を継いで貰いたいと思っているだろ……?」
「うん。でも、そっちは断る。もしくは、いつか父さんが引退する時に、俺がやりたいことが達成出来ていたら、そっちのクリニックを継ぐことにする。」
とても兄さんらしい発言だった。
兄さんはいつもそう。
自分の理想を追いかけて、全て叶えちゃうんだ。
今回もそうなるだろう、と予測は簡単だった。
でも、それよりも……
「なんで、その話俺にしたの?」
”一緒に”俺の聞き間違えじゃなきゃ、兄さんは確かにそう言った。
「なんで、って、そりゃあ俺がお前と一緒にやりたいと思ったからだよ。北斗は嫌?」
「嫌も何も、俺は麻酔科を目指して………」
そこまで口にして気付く。
元々麻酔を目指したのは名誉のためだった。
医師の中でも、難関とされる麻酔科医になって、みんなに認められたかった。
でも、今は……
「兄さん」
「ん?」
今の俺がやりたいこと
「俺にも、俺みたいに”心”で苦しむ人を助けてあげられるかな……」
語尾が震えた。
初めて、誰のためでもない自分のために何かをやりたいと、強く思った。
それが、これ。
「うん!できる!ていうか、むしろ、北斗だからこそ同じ立場の人の心を理解して、解してあげることができるはずだよ。」
俺の頭をぽんぽんと撫でる兄さんの手は相変わらず大きくて、とても暖かかった。