ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「ただいまー」

いつもより早めの時間、夕飯時が終わった少し後に楓摩は帰ってきた。

「おかえりなさい。早かったね。」

「うん。明日が楽しみすぎて急いで仕事終わらせてきちゃった。ちゃんと引き継ぎもしたし、何かあった時のオーダーも事前に全部出しておいたから多分大丈夫でしょう!」

自信満々に笑う楓摩の顔には少しだけ疲れが浮かんでいた。

「お疲れ様。疲れたでしょ、明日も1日色々忙しいと思うから今日は早く休んでね。」

「うん。ありがとう。じゃあ、とりあえず着替えてくるよ。」

「うん。」

楓摩が自室に入っていくのを見送ってから、私はリビングに戻る。

楓摩の分の夕飯を温めなおして食卓に出してから、私はリビングで行っていたパッキング作業に戻った。

5人での旅行だ。

そのうち3人が子どもとはいえ、なかなかの荷物量になるから当日に急いで詰める訳にもいかない。

前もって準備しておかないと、私の事だから何か忘れそうでこわいしね。

葉月、柚月、望笑夏と色で分けた袋にそれぞれの洋服、下着、靴下などを詰めていく。

おねしょやおもらしにも備えて、多めにパンツと念の為オムツも入れておく。

パッキング作業は、とても楽しかった。

よく、文化祭は準備を段階が一番楽しいと聞くけど、きっとこういう気持ちだったんだろうな と想像した。
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