ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「みんな、用意できたー?」

「できたー!」

「うん。できたよ。」

「まだーーー!」

元気に返事をした望笑夏と柚月の荷物を念の為確認する。

望笑夏の小さなリュックは何故かパンパンで、ぎゅうぎゅうにものが詰まっている。

何をこんなに入れたんだろうと不思議に思いながらチャックを開けると、そこには望笑夏のお気に入りのおもちゃとどこから持ってきたのかお菓子がたっぷり入っている。

望笑夏らしいな、と微笑ましく思いながらも、旅行先で落としかねないので一度全ておもちゃとお菓子を出していく。

「のえちゃん、落としたら困るからおもちゃはどれかひとつにしよう。お菓子はママが持って行ってあげるからリュックにはいれないよ。」

そう言うと、望笑夏はニコニコ笑ったままお菓子を抱えて私が持っていく予定のバッグの上にドサッと置いた。

それから、テクテクとまた戻ってきて今度は真剣におもちゃを吟味している。

その間に、柚月のリュックも確認する。

柚月のリュックは軽くて、あまり荷物が入っていないようだ。

中身は、ポケットティッシュ、ハンカチ、そして柚月のお気に入りの絵本が1冊入っていた。

柚月はしっかりしすぎていて逆に心配になる。

「これだけで、いいの?」

「うん。おもちゃ、落としたらいやだからおいていく。」

「そっか。」

ちゃんと本人なりに理由もあって置いていくことにしたみたいだし、安心した。

あとは、いつまでも決まらない望笑夏とまだ何かを詰めてる葉月だけど…
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