御曹司の恋の行方~和菓子王子編~
何とか粘って仕事をしていると、

「夕輝さん、話が終わったら今日は帰りますから聞いて下さい!」と思い詰めた様子の美穂。

取りあえず聞くしかない様だ。

時計を見ると親父が来るまで5分位ある。

美穂はまだ入口扉の前、夕輝の所まではまだ距離がある。このままの距離を保ちたい。

「どうした?仕事で何か困った事でも?」

「…。仕事じゃありません!」

「…」

「夕輝さん、私は前から夕輝さんの事が好きです。お店に買いに来ていた何年も前から、ずっと好きでした。ここでバイトを始めたのも夕輝さんに近づきたくて…」

「…」

「夕輝さんの親友の神宮寺さんが海外に行かれて、みんな夕輝さんが元気がないんだと言っていますが、私はずっと夕輝さんを見てきて、それだけではないと思っていました。そしたら今日、少し様子が違ったので…」

「…」気づかれない様にしていたが、ずっと見られていたと思うと、気持ちいいものではない。

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