御曹司の恋の行方～和菓子王子編～
悠里の通う大学は、所謂(いわゆる)お嬢様学校として知られる女子大だ。

幼稚園から大学までエスカレーターで上がれる名門の学校で、お金持ちなだけでなく学力も必要なのだ。お金持ちを鼻に掛ける馬鹿なお嬢様では、到底入学する事が出来ず、秩序の守られた学校だ。

悠里の父親は西園寺グループの重役で、子会社の社長をしている裕福な家庭だ。母は専業主婦で、一人っ子の悠里は愛情たっぷりに育てられ、心優しく小柄で可愛い容姿だ。

そんな悠里の親友が、西園寺　遥(さいおんじ　はるか)。
そう、父が勤める西園寺グループの社長でベリーヒルズビレッジの所有者の西園寺公造の孫であり、ヒルズ内のレジデンスに住む生粋のお嬢様だ。

幼稚園の頃に出会ったふたりは、性格は違えどとても気が合い、特に遥に取っては唯一気の許せる相手が悠里なのだ。

遥の両親は遥達が中学生になってすぐの頃、海外出張中に事故に遭い亡くなった。その時も悠里が遥を支え傍で励まし哀しみを乗り越えてきた。

悠里は、公造からの信頼も厚く『悠里ちゃん』『お祖父様』と呼ぶ仲だ。

遥は本人無自覚だが、小顔で二重のパッチリな目のかなりの美人で、小さい頃から英才教育を受け頭脳明晰だ。

他校からも噂される位なのだが、何せ家柄の凄さもあり、『高嶺の花』と言われ近づける男子はいなかった。

そんな遥と一緒にいる悠里も、『高嶺の花コンビ』と言われていたのだが、悠里も全くの無自覚だったのだ…
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