御曹司の恋の行方～和菓子王子編～
悠里が母にも近々報告しようと思っていた。

が、そんな悠長な事を言ってられなくなった。
久しぶりに父が早く帰り、家族揃っての夕食となったのだが…

｢悠里、話がある｣と父。いつになく真剣だ。

｢どうしたの？｣

｢父さん、海外赴任する事になったんだ｣

｢エッ？どこに？｣

｢フランスだ｣

｢そうなんだ…｣

｢悠里も成人して就職もしたし、母さんも一緒に連れて行こうと思う｣

｢…｣

｢悠里、ひとりで大丈夫？｣と母が心配してくれる。

｢うん…遥もいるしね｣

｢遥ちゃんがいたら安心ね｣

暫く、離れる事になる両親に安心させるべく、悠里は思いきって夕輝の事を報告する事にした。
｢実は、最近彼氏が出来たの｣

｢｢エエッ？｣｣悠里が毎日楽しそうにしているのは、遥と働き出したからだと思っていた。

｢いつから？｣

｢少し前｣

｢…｣父は少し複雑な表情を浮かべている。

｢悠里、私達がフランスに行く前に会わせてもらえない？｣

｢聞いてみるね｣

夕輝に両親の事情を説明したら、喜んで挨拶したいと言ってくれた。
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