御曹司の恋の行方~和菓子王子編~
綺麗なタワーマンションに住んでいる悠里。

夕輝は長谷屋の息子だが、まだ付き合ったばかりのふたりはお互いの事をあまり知らない。
今回の海外赴任がなければ、挨拶はもう少し後だっただろう。

このマンションを見る限り、悠里の家も裕福なのだろう。

悠里が自宅の扉を開けて、
「ただいま~」と声を掛けると奥からパタパタとスリッパの音。

「いらっしゃ~い」と言いながら走って来た母が夕輝を見た途端、固まる。

そして数秒後、
「きゃ~!!和菓子王子!?」と素っ頓狂な声を上げた。

悠里は想定内だが夕輝はビックリし、中にいた父も何事かと廊下に顔を出した。

「どうした?」

「わ、わ、和菓子、和菓子王子がいるの~」

「??和菓子王子?」悠里の父は、わからず困惑する。

「お母さん、驚くのもわかるけど取りあえず中に入っていい?」

声もなく、首だけ何度も縦に振る母。

「お邪魔します」と挨拶して上がる夕輝。

母はまだ呆けている。


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