【完】あなたに送る5文字の言葉



あの日見た先輩の姿が今も鮮明に覚えていて、頭から離れない。


先輩、大丈夫かな……。





*   *   *





「おめでとー!」


「おめでとうございます!」



閉会式が終わり、歓声を上げる部員たちが和人先輩の周りに集まっていた。


私の心配なんて必要なかったかのように、先輩はどんどん勝ち進んでいき、優勝した。



「みんな、ありがとう」



周りの勢いに、少し戸惑いつつも、みんなの言葉を聞いている和人先輩。



「よかったね、雪花」



不意に、愛華に声を掛けられた。



「なんで?」


「大好きな和人先輩が優勝して」



相も変わらず、ニヤニヤしながら、そう口にする愛華。


好きだと気付かされた日から、一方的にいじられる毎日。



「そんな恥ずかしいこと、言わないでよ!」



私と愛華が話をしていると、和人先輩が私に近付いてきた。



「如月さんもありがとう」



不意に、綺麗な笑顔を向けられて、顔が熱くなる。


< 11 / 27 >

この作品をシェア

pagetop