【完】あなたに送る5文字の言葉
あの日見た先輩の姿が今も鮮明に覚えていて、頭から離れない。
先輩、大丈夫かな……。
* * *
「おめでとー!」
「おめでとうございます!」
閉会式が終わり、歓声を上げる部員たちが和人先輩の周りに集まっていた。
私の心配なんて必要なかったかのように、先輩はどんどん勝ち進んでいき、優勝した。
「みんな、ありがとう」
周りの勢いに、少し戸惑いつつも、みんなの言葉を聞いている和人先輩。
「よかったね、雪花」
不意に、愛華に声を掛けられた。
「なんで?」
「大好きな和人先輩が優勝して」
相も変わらず、ニヤニヤしながら、そう口にする愛華。
好きだと気付かされた日から、一方的にいじられる毎日。
「そんな恥ずかしいこと、言わないでよ!」
私と愛華が話をしていると、和人先輩が私に近付いてきた。
「如月さんもありがとう」
不意に、綺麗な笑顔を向けられて、顔が熱くなる。