【完】あなたに送る5文字の言葉
だから、個人練習をしてもいいんだけど……。
なんとなく、1年生たちのことを見守りたくなった。
何か、特別な理由があるわけじゃないけど……。
「雪花先輩ー!」
そんなことを考えていると、急に呼ばれた。
「はーい!」
呼ばれた方へ行くと、2年生の男の子と、新しく入部してきた男の子がいた。
「どうしたの?」
「フォアハンドの形をどう伝えればよくなるのかがわからなくて……」
「じゃあ、一回やってみてくれる?」
「わかりました」
答えたのは、1年生の方だった。
確か、早見拓馬 Hayami Takuma くんだったかな?
拓馬くんは、何回か素振りをしてくれた。
「あぁ、なるほどね」
私は、拓馬くんの後ろから手を重ねて、ラケットを一緒に振る。
「こうやって、振るんだよ」
そう言って、拓馬くんの方を見ると、なぜか顔を赤くしていた。
「どうかした?」
「い、いえ!なんでもないです!」
恥ずかしそうに、慌ててそう返ってきた。