1日だけの恋~10月25日夜完結~
「僕が君を助けたら、何かメリットが、あるのかな?」

この人のメリット。
やばっ、正直そこまで聞かれるとは考えてなかった。


「えっと……それじゃあ、ここのラウンジで一番高いものを注文してもらって構いません」

「ふっ、それだけ?」
男は、小馬鹿にしたように鼻で笑うと身体を椅子の背に預けた。

私にしたら思い切って川に飛び込むほどの捨て身の案だが、このセレプにしたら鼻で笑ってしまうほどのショボい提案だったのだろう。

「それでは不十分だと?」
少しムッとしながら椅子に座り直した。

「僕のことも助けてもらえないかな」
真っ直ぐに私を見つめてくる男の発した思ってもみなかった言葉に驚いてしまう。

「えっとっ、えっ、私が貴方を?」

「そう。助けてもらえる?」
男の表情は、薄く笑ってみえる。
やはりというべきか、この男の動作や表情には、どことなく自信と余裕が感じられる。

「あの……どうやって?」

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