バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
「君は無防備だな」と、社長が私の横に少し間を空けて腰掛けた。
「わたし、どこでも眠ってしまうんです。会社でも、毎日お昼寝してます」
「仮眠室を活用しているとは、なによりだな。あのアイディアを出したのは、君か?」
「いえ、私、去年中途で採用されたばかりで」
「ああ、そうなのか。どうだ、うちの会社は。働きやすいか?」
「はい、それはもう、夢みたいな職場です」
「夢か」と、なぜか社長がため息をついた。「日本の社会では、仕事とは苦しくて嫌なものだと考えられているだろ。社会人なんだからつらいことも我慢しなければならず、不平や不満を言ってはいけないことになっているんだよな。それを変えようとしたり、新しいことを始めようとすれば、やる前からそんなのうまくいかないと言われ、今までそうやってきたんだからと抵抗される」
ふっとため息を漏らしながら社長が私に顔を向けた。
「でも、それっておかしくないか?」
「そうですね。実行するのは難しいですけど」
「社員が気分良く自分たちのために働ける職場というのが夢であってはいけないと思うんだ。それは理想論かもしれない。だが、俺は現状を変えていきたいと願っているんだ」
「社長は間違っていません」
心の底からそう思う。
「だって、私はこの会社が好きですから」
はっきりと言える。
「ありがとう。君にそう言ってもらえるとうれしいよ」
まるで少年のようにはにかむ社長の横顔に思わず見入ってしまう。
「もっと好きになってもらえるように努力するよ」
「わたし、どこでも眠ってしまうんです。会社でも、毎日お昼寝してます」
「仮眠室を活用しているとは、なによりだな。あのアイディアを出したのは、君か?」
「いえ、私、去年中途で採用されたばかりで」
「ああ、そうなのか。どうだ、うちの会社は。働きやすいか?」
「はい、それはもう、夢みたいな職場です」
「夢か」と、なぜか社長がため息をついた。「日本の社会では、仕事とは苦しくて嫌なものだと考えられているだろ。社会人なんだからつらいことも我慢しなければならず、不平や不満を言ってはいけないことになっているんだよな。それを変えようとしたり、新しいことを始めようとすれば、やる前からそんなのうまくいかないと言われ、今までそうやってきたんだからと抵抗される」
ふっとため息を漏らしながら社長が私に顔を向けた。
「でも、それっておかしくないか?」
「そうですね。実行するのは難しいですけど」
「社員が気分良く自分たちのために働ける職場というのが夢であってはいけないと思うんだ。それは理想論かもしれない。だが、俺は現状を変えていきたいと願っているんだ」
「社長は間違っていません」
心の底からそう思う。
「だって、私はこの会社が好きですから」
はっきりと言える。
「ありがとう。君にそう言ってもらえるとうれしいよ」
まるで少年のようにはにかむ社長の横顔に思わず見入ってしまう。
「もっと好きになってもらえるように努力するよ」