バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
 私はせまい床の上に寝転がって、天井を見上げた。

 私も無職だ。

 社長も……、あ、もう、社長じゃないんだっけ。

 徹也さんも……無職か。

 なんだか名前で呼ぶのは照れくさい。

 社長でいてくれたら良かったのにな。

 まあ、いいや。

 べつに、もう二度と会うこともないんだから、考えるのはよそう。

 徹也さん……か。

 私には関係のない人の名前だ。

 寝転がったまま、カーテンの隙間から逆さまになった午後の青空を見上げる。

 今日は晴れてたんだな。

 梅雨の晴れ間か。

 洗濯干せば良かったな。

 逆さまでも、青空はいつもと変わらない。

 それがなんだっていうんだろう。

 空が青いことに意味なんかないんだから。

 そこには偶然も必然もない。

 ただの……青空。

 私はまたいつの間にか眠ってしまっていた。

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