恋の花を咲かせた3月の涙。
Ⅰ
転校生
「今日からこのクラスに転校生が来るからみんな温かく迎え入れてくれよ」
高校生活最後の年。
あと1年で卒業だったのに転校することになった。
友達出来るかな? いじめられないかな? なんて思わない。
「入ってこい」
先生が廊下で待っていた私を呼んだ。
1歩教室に足を踏み入れると、廊下とは違い重たい空気が流れているのがわかる。
「今日からこのクラスの仲間になる鈴木ひよりさん」
クラスのみんなが自分の事を注目する、その視線が怖い。
お願いです。友達なんていらないから平和な毎日を過ごさせてください。
お願いです。空気になりますから、私のことを気にしないでください。
何でもしますから、どうか無事に卒業させてください。
お願いだから、私に関心の目を向けないで。
「ほら、一言あいさつして」
「鈴木ひよりです。よ……よろしくお願いします」
1礼するとみんなが拍手をしてくれた。
教室を見渡すと見覚えのある顔があった。
「鈴木の席は峰原の隣な」
教室で空いている席は1つだけ。窓側の1番後ろの席。
転校生お決まりの席。
「あいつの席の隣とかかわいそう」
「じゃあ彩夏がかわってあげれば?」
嫌でも耳に入る悪口。
もしかして、このクラスっていじめがあるの?
「嫌に決まってるじゃん、人殺しの席の隣なんて」
「さすがに人殺はかわいそうじゃない?」
「だってほんとの事じゃん」
悪口を言っていた2人は笑っている。
流石に人を殺したら学校来れないに決まってるじゃん。
けれど峰原さんは来ている。
嘘にしても、本当にしても、関わらなければいいだけ。
関わらなければ私がいじめられる心配もない。
そう思っている人は私だけじゃないはず。
椅子に座ったことを確認すると、先生は明日の課題テストについて説明し、チャイムが鳴ると「気をつけて帰れ」と言って、教室を後にした。
高校生活最後の年。
あと1年で卒業だったのに転校することになった。
友達出来るかな? いじめられないかな? なんて思わない。
「入ってこい」
先生が廊下で待っていた私を呼んだ。
1歩教室に足を踏み入れると、廊下とは違い重たい空気が流れているのがわかる。
「今日からこのクラスの仲間になる鈴木ひよりさん」
クラスのみんなが自分の事を注目する、その視線が怖い。
お願いです。友達なんていらないから平和な毎日を過ごさせてください。
お願いです。空気になりますから、私のことを気にしないでください。
何でもしますから、どうか無事に卒業させてください。
お願いだから、私に関心の目を向けないで。
「ほら、一言あいさつして」
「鈴木ひよりです。よ……よろしくお願いします」
1礼するとみんなが拍手をしてくれた。
教室を見渡すと見覚えのある顔があった。
「鈴木の席は峰原の隣な」
教室で空いている席は1つだけ。窓側の1番後ろの席。
転校生お決まりの席。
「あいつの席の隣とかかわいそう」
「じゃあ彩夏がかわってあげれば?」
嫌でも耳に入る悪口。
もしかして、このクラスっていじめがあるの?
「嫌に決まってるじゃん、人殺しの席の隣なんて」
「さすがに人殺はかわいそうじゃない?」
「だってほんとの事じゃん」
悪口を言っていた2人は笑っている。
流石に人を殺したら学校来れないに決まってるじゃん。
けれど峰原さんは来ている。
嘘にしても、本当にしても、関わらなければいいだけ。
関わらなければ私がいじめられる心配もない。
そう思っている人は私だけじゃないはず。
椅子に座ったことを確認すると、先生は明日の課題テストについて説明し、チャイムが鳴ると「気をつけて帰れ」と言って、教室を後にした。