恋の花を咲かせた3月の涙。
自分の席に戻り、ずっと寝ているさっちゃんを見つめる。


たまに体制を変えているけれど起きる気配はない。


5分なんてあっという間。


課題を一生懸命しているちぃちゃんも眠っているさっちゃんも私の事を気にしていない。


今なら帰ってもバレない気がする。


でもさすがに酷いか。


和花ちゃんに招待してもらったメッセージグループも会話なし。


スタンプでも送った方が良いかと思ったけれど誰も反応してくれなかったら寂しいし、私が招かれていない事を実感するのが怖い。


「お待たせ」


眠そうな声で私の席までゆっくり近づいてきたさっちゃん。


「どんな夢いてたの?」


「えっと……たくさんの本の下敷きになった夢」


ちょっと想像しにくい夢を見ていたみたさっちゃんは、まだ眠たそう。


「不思議な夢だね」


「そうかな? まあ、早く行こ? 遅くなるとお腹空いちゃう」


「そうだね」


教室を出た私たちは職員室から行くとこにした。


階段をおりて、渡り廊下を渡るとすぐに見えてきた。


「さすがに中には入らなくていいでしょ?」


「そうだね。職員室って少し緊張するしね」


次に私達は、図書室に向かった。


「ここの学校ってそこまで広くないから、迷子にはならないと思う」


「学校で迷子はちょっと恥ずかしいな」


「私もそれは思う」


図書室に入ると司書さんが迎え入れてくれた。


「坂本さん、今日も来てくれたのね」


「今日はこの子を連れてきただけ」


司書さんはとても優しそうな女の人。


「鈴木ひよりです。よろしくお願いします」


「あなたが転校生ね。よろしく」


さっき、さっちゃんを見て『今日も』と言っていた。


結構来るのかな?


「ここは冬はあったかいし、夏は涼しいから昼寝には最適なんだよね」


「坂本さんはよくここで寝ているもんね」


「ひぃちゃんもここで昼寝すれば? ストレスフリーだよ?」


「遠慮しとこうかな」


苦笑いしながら返すと、司書さんも同じように苦笑いをしていた。


そのあと、体育館や生徒ホールに行ったりした。


教室に戻るころには13時を回っているた。


「お腹空いた。きっと2人とも私たちの事忘れているからどこかご飯食べて帰らない?」


「ここら辺にお店あったっけ?」


「駅の近くにあるんだよ!」


そう言って見せてきたスマホの画面にはファミレスの写真。


テンションがさっきと全然違う。


きっと寝るのと食べるのが好きなんだろう。
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