人間を好きになった、魔王の娘
でも、オオカミって何?
「お前、分かってねぇだろ」
「?」
「ダメだ。こりゃ。明日になんねぇと分からねぇかもしれねぇ」
だから、何が?
「なら、明日。あたしといこーよ。奈未」
「え?」
「同い年で、同じ学校だったら、一緒に行っても
別に違和感ないでしょ?
それに、悠翔はきっと、起きらんないでしょ?」
「うるせぇ」
ぶっきら棒に答えている悠翔君。
「そう言えば、何でこっちに来たの?」
え?
「だって、奈未のいたところってここよりも良かったんじゃないの?」
「分かんない。まだ、ここに来たばかりだし。
この世界がどんな世界なのかも、あたしには分からない。
でも、向こうの世界で、あたしは”1人”だった」
「あ?」
「あたしには、弟がいてね。
その弟にしか目をくれない人ばかりだもの。
こっちに行くのね。そう言ったお母様も、弟ばかり。
お父様は、一族の繁栄にしか、興味がないもの。
あたしには、自由もなく、あの世界で1人でいるようなものだった」
それが嫌だった。
あの目を、少しでもあたしに向けてくれたら
「そっか」
「でも、ここ・・・この場所は、温かい」
「大丈夫よ。ここにいる間は、私たちを頼りなさい」
でも・・・