人間を好きになった、魔王の娘
「大丈夫よ。奈未。すぐにわかるわ。
あなたは私によく似ているもの」
「・・・っ」
「だから、その人を探しなさい」
「うん」
お母様・・・ありがとう
「奈未っここを出たら、お前はこの王の娘ではなくなるのだぞ!?」
「いいよ。それでも」
どうせ、お父様は、あたしなんてどうでもいいんだから。
弟さえいてくれればそれでいいんだから
「お母様。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
いつものように笑顔で見送ってくれたお母様
ここに帰ってこれないかもしれないのに
どうしてあんなに笑顔でいられるんだろう?
きっと、同じ境遇に立つ娘を嘲笑っているの?
「どうせ、お母様だって、同じだ。弟がいれば
それで十分なんだ」
走ってきたのは、昔お父様が、お母様を呼ぶのに使った魔法陣がある場所
「ここからなら、行ける」
人間界にいったら、今以上に寂しい思いをしなくて済むんだから