人間を好きになった、魔王の娘
「あたしと悠翔の幼馴染ー」
「え?そんな子いたのー?」
「いたんですー。しかも、昨日帰って来たばかりだし」
「そうなんだー。よろしくするつもりはないけど、
よろしくね。転入生さん」
あたし、この人の目、キライだ。
魔界にいた、あたしに近づいてきた男どもと同じ目をしてる。
何かを探る目。
フイッと顔を横に向けた瞬間
「生意気ー」
「ちょ、やめてよー?悠翔に怒られんのあたしなんだから」
夢ちゃんも同じだ。
もう、どうでもいい。
外を見ると、魔界の門が開きかかっている
きっと、お父様が誰か使いをよこしたのだろう
クラスを出たあたしは、上に続く階段を上がった
ここで、飛べばあたしは人間ではないと、思われてしまう
それだけは、避けなくてはいけない
ガチャとドアを開ければ
既にいた、お父様の使いの者
「姫」
「何しに来たの」
「姫ならお分かりかと。
王より帰って来いとのご命令です」
やっぱりね
「”今”は、帰る気がないと言ったら?」
「それは無理だろーよ。奈未」
!?
「何で、あんたまで来てんのよ?廻(カイ)」
「しょうがないだろー?親父の命令なんだから」