人間を好きになった、魔王の娘
「何しに来たの。善(ゼン)」
「何しにってひどいなぁ。
俺、お前の婚約者の1人だよ?」
ってことは、次期魔王候補の1人でもあるのか・・・
「悪いけど、あたしは魔界で婚約する気なんてないんだけど」
「へぇ。でもさぁ。廻様もなるつもりはないんでしょう?」
「どうだろうね?あたしがこっちでちゃんと見つければ
廻がなるとそう言っていたけど?」
「なっ」
「悪いけど、向こうに戻るための猶予もあるの」
「へぇ・・・」
「でも、もしその猶予に間に合わなかったら、その時は諦めるわ。
嫌でもなんでも魔界に帰るしかないし、あんたと婚約も結婚もするわ」
「いいだろう」
これで、当分関わってこないだろう
これで、悠翔君と婚約しなければ、魔界に連れて帰られる
善と婚約する羽目になってしまう・・・
そうすれば、あたしは姫から女王に立場は変わり
善が魔王になってしまう・・・
あたしは、何のために逃げてきたのだろう・・・
早く、早くしなくちゃ・・・