人間を好きになった、魔王の娘

夜遅く帰って来た悠翔君。朝起こすのもあたしの日課だ

「悠翔、クン起きて。部活!部活に遅刻するよ!?」

「やべっ」

そう言ってTシャツとジャージに履き替えた悠翔君

「何見てんだよ?」

「何でもないよ?」

ただ、あたしの目に焼き付けておきたかったの
これ以上、この人以外に好きになることなんて絶対にないんだろう
善と婚約しても、あたしはきっと悠翔君を好きなままで居させてください・・・

「お弁当。出来上がってるよ?」

「悪いな」

お弁当を3つも持って行く悠翔君。
朝ごはんは、部活の後に1つ
お昼に2つ食べるようで。

「じゃ、先に行くけどお前も気を付けて来いよ?」

「うん」

ありがとう。そう言ってくれて。
数か月も一緒に居てくれて

サヨウナラ。あたしの好きな人

「夢に、連絡しなくちゃ・・・」

この時間だから、もう、起きているだろう

隣の家に行くと庭で洗濯物を干してるおば様を見つけた

「あら、奈未ちゃん。今日も早いのね?」

「おば様。お願いがあるんです」

「お願い?」

「夢に、今日は用事があるから休むって伝えてください」

「そう。分かったわ」

ありがとうございました。こんなあたしに優しくしてくれて

ぺこりと頭を下げて家の中に入って
昨日の続きの
思い出を1つずつ消していく。
< 27 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop