人間を好きになった、魔王の娘
「この男、俺の前で言い切りやがった」
「!?な、何言って」
善と廻の後ろからすごい魔力を感じる
「お、父様・・・」
後ろから来たのはあたしと廻の父で魔界の王。凌だ
「ほぉ・・・麗奈が勝手に決めた婚約者とは人間だったか」
「・・・っ」
「親父。無駄だよ。」
「何?」
「親父が来る少し前に俺に宣言しやがった
”お前は俺の婚約者だ。他の男に尻尾を振ってんじゃねぇ”
”俺はお前を手放す気はない”ってね」
「そうか」
あたしは、ここにいてもいいの・・・?
「奈未。この場で、婚約するとなれば
本当に魔王の娘ではなくなるのだぞ?」
”魔王の娘”・・・か
悠翔君の言葉がどこまで本気なのか、分からない
「ごめんなさいっ
好きだから、バイバイっ悠翔く・・・」
そう言った瞬間
悠翔君に抱きしめられたあたし
「好きだからバイバイって可笑しいだろ
俺が好きなら、俺のそばに居ろ。
俺の隣で笑ってろ。お前は魔王の娘かも知れない。
でも、俺からしたらそんなのどうでもいいんだよ」
そんなのどうでもいい・・・
「もう一度言う。
お前は俺の婚約者だ。お前を手放す気はない」
「・・・っ」