俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
期待通り新人の折原さんは営一の仕事も直ぐに覚え、前任の荒木も太鼓判を押している。

仁見さんは予想通りと言ったところか。

荒木が一課に戻ると祐世さん専属秘書のような働き方だと耳に入るようになった。
そのような状態になっても営一のメンバーに影響はないらしいが、祐世さんには影響が出ているようだ。


九月末、内線が鳴った。
どうも折原さんが荒木に助けを求めているようだ。

折原さんとの電話を終え慌てて荒木が私の元に報告にきた。
その内容に私は耳を疑った。


「仁見さんが花桜の予約を入れ忘れたばかりか、先ほど飛び込み予約の電話を入れた時に――――――。」


ありえない。

花桜は数か月前からの予約は必須。
有知の前会長が社長時代からの数十年の付き合いのおかげで飛び込み予約も受け付けてくれていると言うのに。

社長に花桜で接待を受けたアルクフード社長が気に入り度々利用するようになったとは聞いていたが、ただそれだけの繋がりだと言うのに、あのお嬢様は自分の父親の名前を出しただけでムリが通ると思ったのか。なんて世間知らずな。

その場は祐世さんが詫びを入れたおかげで収まったようだが私が直接お詫びに伺った方がいいだろう。今後も今までと変わりなくお付き合いをしていくためにも。


「荒木、昼一で花桜にお詫びに行ってくる。状況を知りたいから折原さんを呼んでくれるか?急がなくても昼までに来てくれたらいいから。」




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