俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
「先週、俺の恋人が変な噂を耳にしてきました。社長の月曜日の言葉といい、先ほどの仁見さんの言葉と言い、俺と仁見さんの婚約が決まっているかのようなのですが何か聞いてますか?」
遠回しに聞いても仕方がない。時間も無いのでストレートに話を始めた。
「恋人、折原さんですね。彼女は実に優秀ですね。」
美月が恋人って知ってるのか。何故?
「あっ、ごめん。叔父さんに話をする時に言っちゃった。でも大丈夫、叔父さんは味方だから。」
味方って・・・。
まあいい、いずれ皆の知れることになるんだから。
「話を進めても?」
「すみません。お願いします。」
「社長とアルク社長が高校時代の友である事は知っていますよね?十年前、社長に就任して直ぐに当時勢いのあったアルクと共同開発をする事になったんです。その事業は本当にうまくいった。それまでも友として繋がりがあった二人でしたが、それから何度か一緒に仕事をするようになってから繋がりはより強くなっていきました。そんな中、子供のいない社長の後釜を狙う者も現れ、代々受け継がれた有知を守るために弟の息子である祐世さんを誘われたんです。後継者も決まりホッと胸をなでおろしたのもつかの間、アルクの業績に曇りだした。しかしアルクの業績が落ちだしてからも社長の態度は変わらなかった。周りからもう少し離れた方がいいんじゃないかと言われ出しても社長はうちが見放せばより落ちるかもしれないと、首を縦に振らなかった。そんな時、あるパーティーでアルク社長と共に出席していた凛さんが時々見かける祐世さんに恋したそうです。」
大学四年になってから何度となく顔つなぎの為と連れて行かれていたから何処で出会ったのか分からないな。
仁見さんの気持ちを知った父親と叔父が俺と結婚させようと勝手に決めたらしい。叔父の中では縁者になればアルクへの融資もしやすくなる打算もあったのだろう。まずは俺との接点を作るため就職をする予定もなかった仁見さんがうちに入社、そして俺のいる営一に配属されたと言う事か。
「美月とは五年付き合っています。彼女と別れる気もありません。」
「仁見さんが社長夫人なんかになったら祐世や現場がいくら頑張っても有知も終わりそう・・・。」
天の言う事はもっともだと思う。
今までの彼女の態度を見てきた人たちなら百人が百人同じ意見を言うだろう。