俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
大翔たちとの約束の前に指輪を見に行った。
美月はたぶん今日購入すると思ってないだろうが、俺は美月が気に入った物があれば即購入するつもりだ。

店に入りショーケースを見ていると美月の表情が急にほんわかと和らいだ。
気に入ったデザインを見つけたのだろう。でもその表情も直ぐに硬いものになる。値段を見て0の多さに驚いたか?気になった物があれば言うように言ってはいるが美月は絶対に自分から言わないだろう。


「すみません。この指輪見せてもらっていいですか?」

「はい。では、あちらでお掛けになってお待ちください。他にもございますか?」


チラッと美月を見てみたが首を振っていたので、その指輪のみ試着させてもらう事にした。中央のダイヤは小さめだが質もよくデザインも控えめな美月によく似あっている。


「美月。よく似合ってる。気に入った?」

「うん。でもっ」


美月が返事を返しきる前に『これお願いします。』と店員伝えた。


「えっ、祐世!今日は見に来ただけじゃ・・・」

「うん。でも、美月が気に入った物があれば買うつもりでいたから。マリッジリングも見て行こうか。本物が出来上がるまではコレで我慢して。」


そう言いながら俺の左薬指に数年前から鎮座するお揃いの指輪を指した。


「我慢って。私はこれでもいいと思ってるのに。」


そうだろうな。美月は今まで俺に強請った事ないもんな。


「うーん、でもこの二つの指輪は俺の気持ちとか決意の証だから。だから美月は気にせず気に入った物を選んで。」


目の前に店員さんがいる事も忘れ美月に熱弁してしまった。


「わかった。じゃあマリッジリングは祐世も気に入る物を一緒に選んで?」

「もちろん。」


もう一度ショーケースに戻り指輪を選んだ。




「ではお渡しは一月後の一月三十日以降となります。」


店を出て美月がトイレに行くため離れた隙にmoment de joieへ電話をし、一月三十日の予約を入れた。

俺の都合のせいでちゃんとしたプロポーズもできないまま入籍する事になってしまう。指輪ができたらmoment de joieでちゃんとプロポーズをし直そう。




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