俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
「祐世、早くない?」
一日、お昼前に近所で一番大きな春木神社で待ち合わせ。
時刻より少し前に着くと既に祐世の姿があった。
「家にいてもヒマだったから。それに姉さんにも明日の事で色々と言われるからうるさくて。」
外ではどちらかと言うとリーダータイプの祐世も兄や姉、特に姉には弱いのだろうか。
「フフフ。・・・改めまして、祐世、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
「俺の方こそ、今年も、いやこの先もずっと、よろしくお願いします。」
この辺では一番の神社と言うだけあって人が多い。離れないように手を繋ぎ長い行列に並んだ。三十分は並んだろうかお参りを済ませ境内に立ち並んだ屋台でお昼を食べる事にした。焼きそば、唐揚げ、フランクフルトなど買い過ぎじゃないってくらい買い込んで人混みを避けちょうど空いていたベンチに腰をかけた。
「あっつ!この唐揚げ美味しいけどあつー。」
「そお?祐世猫舌だった?」
「違うよ。これが熱すぎただけ。俺にも焼きそばちょうだい。」
そう言いながら大きく口を開けて待っている。
『はい。』祐世が『あーん』とするのはいつもの事だったからいつも通りにしていると、少し離れた所から『キャーッ』と黄色い声が聞こえた。
「祐世先輩、帰って来てたんですか?」
声をかけてきた子達・・・、どこかで見た事ある・・・。
あっ!祐世に初めて出会った時に追っかけしてた子達だ。
「一緒に屋台まわりましょ。」
隣にいる私の事は見えてないのでしょうか。
私が『あーん』って食べさせてるのを見て『キャーッ』って言ってなかったっけ?
「悪いけど奥さんと一緒だから君たち邪魔しないで。」
サラリと私の事を(奥さん)と紹介する祐世。追っかけの彼女たちも祐世の言葉が直ぐに理解できなかったのか『・・・』って固まってるし。
そんな彼女たちを放置で『美月も唐揚げ食べてみて、美味しいから。はい、あーん。』って・・・。
すごく恥ずかしい、けど私を無視して私たちの邪魔をするこの子達にも少し腹が立ってるのも事実。なので『あーん』って唐揚げをパクリと食べた。
「でっ、君たちはいつまで俺たちの前に居座る気?さっさと散ってくれる?」
会社で仁見さんに向けてた零度以下の声で言うと、高校時代までそんな態度を祐世に取られた事のない彼女たちはビクッと体を跳ね上げ離れて行った。
「いいの?あんな態度取って。地元では王子様の祐世くんなのに。」
「俺は美月だけの王子でいられればいいから問題ない。美月だって普段ならこんな人の多い所で『あーん』ってしないのに、してたじゃん。」
「はは、仁見さんの件以来、ちょっと嫉妬?独占欲が深くなったのかも。ちょっとイラっとしたのよね。」
祐世はその言葉を聞いて驚きを隠せないでいた。