俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
入るのも躊躇いそうなドアを目の前に尻ごむ自分にカツを入れくぐった。


「神崎様ですね。お待ちしておりました。」


想像通りスタッフたちは見るからに一流。
流れるように案内され入った部屋には施術用ベッドに大きな鏡の付いたドレッサーにゆっくりとくつろげそうなソファーセット。

奥にはバスルーム?

これから私が受けるエステやメイクアップ等の説明をされたが正直想像を遥に超えていた為、驚き過ぎて何も耳に入って来なかった。


「ではあちらでシャワーを浴びて頂き、お着がえお願い致します。」


言われるがままシャワーを浴びフィッチングルームに入り用意されたものに着替え出ると施術用ベッドに横にされる。

もう私は人形状態。

頭から足先まで丁寧にマッサージをされいつしか夢の中。
『神崎様。』遠くで誰かが祐世の事呼んでる?昨日入籍したばかり、まだ神崎と名前を呼ばれてもピンとこない。何度か神崎と呼ばれた後『美月様』と名前を呼ばれようやく神崎と呼ばれていたのは私の事だと気づき目を開けた。


「すみません。すごく気持ちよくって熟睡してしまいました。」

「それは良かったです。あちらのソファーに移動してハーブティーをお召し上がりください。」


手を添えてもらいながらソファーへ移動する。
まるで姫にでもなったかのような気分。

フーッとハーブティーを飲みながらしばしの休憩タイム。
まあ私は極上マッサージを受けていただけなので、ずっと休憩タイムのようなものだけど。のんびりとお茶を頂いている横でスタッフさん達が数着のドレスをフィッチングルームに運び込んできた。

ローズパープル、アイスグレー、ネイビー、ラベンダー色とりどり。


「どれもお似合いになる色ばかりですね。さすが奥様の事をよく分かってらっしゃいますね。」

「えっ?倉橋さんが準備をしてくれたのでは?」

「はい。こちらの予約などは倉橋様より承っておりますが、ドレスは年末に神崎様がお持ちになりました。当日、美月様と相談しながら選んでほしいと。」


そうなんだ。年末すごく忙しそうだったのに。

自分に一番似合うもの。

こんなドレスなんて着たことのない私は四名のスタッフの皆さんにお任せする事にした。『このドレスにこの髪型は?』など暫く相談した結果、アイスグレーのドレスに決定。その後も私はドレッサーの前に座っているだけ。ヘアメイクはもちろんネイルまで完璧に仕上げられ六時少し前に祐世がサロンへ迎えに来てくれた時には『これ誰?私?』って思うくらい完璧に仕上げられていた。プロって凄い。

魔法使いなのではないだろうか・・・。





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