俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

「美月、おいで。」


今までの表情とは真逆の優しい笑顔で彼女を呼んだ。
美月の人垣が割れ道が出来た。
その中を恥ずかしそうに進み俺の手の届く所までやって来た彼女の腰をすかさず抱き寄せた。


「白藤社長、皆様、妻の美月です。今後ともよろしくお願い致します。」


俺の言葉に頭を下げる美月。


「なっ、なんであなたなの!どんな手を使って祐世さんの気を引いたのよ!」


仁見さんは相手が美月だと知り、鬼の形相で彼女に食ってかっかてきた。


「どんなって、私と祐世は高三の時に出会って、友達も一緒に受験勉強を頑張って・・・。自然と惹かれ合って付き合いだしたとしか。」

「ん-、美月。ちょっと違うんじゃない?自然とじゃなく、俺は初めて会った時から美月に惹かれてたし。」

「ハハハ。ここまで惚気られるとは。仁見さんも諦めるしかないですね。」


その後騒ぎを起こしたことを詫び俺と美月は主要な人に挨拶を済ませると早々に会場を後にした。
俺たちが帰った後の会場ではやはり仁見父娘の話で持ち切りだったようだ。特に娘の方は以前から噂になっていたから。
もちろん悪い方で。
花桜への対応の話が広まるにつれ、今日のようなパーティーでも色々とやらかしていたようだ。

有知の社長である叔父も俺たちが帰ったのち会場の外で仁見父娘に年末にきちんと説明したにも関わらずこの醜態をさらした友人に『アルクの評判は下がる一方だった。君からの申し出により祐世と凛さんが結婚するなら社内の反対派も抑えプロジェクトも進められたが、このような状態になってはプロジェクトの方も流れると思っておいてくれ。』と引導を渡したそうだ。

仁見さんはまだ有知の社員だから明日からも出社はできる。
いやどんなに嫌な状況であっても辞表を提出していないから出社しなくてはならない。

でも出て来ないだろうなー。

まあ来ても来なくても変わりはない、逆に俺の仕事が減るからいい。


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