俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
「おかえり。」


玄関までお出迎えに行くと『美月―』と抱きしめてくる七菜。

そして『なに!すごくいい匂い!』とキッチンへすっ飛んで行った。キッチンからは『キャー!リクエスト通りの物が!あっ、冷蔵庫にも食材がいっぱい!』とテンションが高い七菜の声が聞こえる。

ちゃんと掃除洗濯はされていたが、冷蔵庫の中は予想通り飲み物とヨーグルト、食パンくらいしか入ってなかった。

七菜はこの一週間何を食べていたのだろうか・・・。

バイトの日はまかないもあるしコンビニもあるから何かしらちゃんと食べてただろうけど、ちょっと心配になった。


食事が終わると祐世との話になった。
私の予想通り、あの彼女がキッチンを使い食事を作り、何度かあの家に泊まった事があるとのことだった。ただ彼女一人を家に招いた事も泊めたこともないと言っていたらしい。

私へのメッセージにも書かれていたが泊った時もみんなでごろ寝をしていて、言い方は変だがベッドで一緒に寝てしまっていた事も先日が初めてだったと。


「でっ、美月は決めれたの?」


決めれない。


本当に祐世が彼女と付き合いたいのなら別れるしかないだろうが、彼から送られてくるメッセージを読む限りでは、まだ私を好きで付き合っていきたいと言われてるようで決めきれない。

首を横に振る私を見て七菜も『そうだよねー。そんなに直ぐに決められないよね』と。


「まあ、もう少しこのまま会わずに様子を見れば?来週から学校も始まるしね。」

「うん、そうしようかな。もう少し日常に戻って考えたいし。」


翌日、午前中は自室の掃除と昼からは買い物に行きバイトや学校が始まって買い物に行けなくても困らないよう冷蔵庫の補充も完了した。
そして土曜日からバイトが、月曜から授業が始まりバタバタとした日々を過ごしだした二週間後、祐世からメッセージではなく電話が久々にかかってきた。


「美月?おれ。・・・・」


私も何を話せばいいのかわからず『うん』としか答えれなかった。
少しの沈黙の後『会ってちゃんと話がしたい』と言われ、このままズルズルといる事もダメだと思っていたので二人で会う事にした。

会うのは次の土曜日、そして『後で住所送るからそこに来て』と言われた場所は私の家がある最寄り駅の北側。

私の家は駅の南側。

店の名前ではなく部屋番号が書かれていた。


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