俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
ぐったりと力の無くなった美月を膝に抱えたままソファーに座った。

甘えるように腕の中でピッタリと俺にくっつく美月が可愛くて、愛おしくて仕方がない。やっと俺の腕の中に帰ってきてくれたことが嬉しくてしょうがない。

そんな甘くいい空気を俺の腹がぶち壊した。

グーッ。

俺のバカ、美月が本当に来てくれるか不安で昼ご飯を食べる事ができなかったんだ。


「祐世、お腹減ってるの?」

「ははっ、美月が来てくれるか不安で食べれなかったんだ。」

「そう、なんだ・・・。私、何か作ろうか?」


マジで!美月の手料理、久しぶりだ―!

・・・・、あっ、食器類やフライパンはもちろん食料品も全くないんだった。


「美月の手料理食べたいんだけど・・・。」

「だけど?」

「全部処分したからホント何もないんだ。」

「えっ!食器やフライパンも捨てたの?」


当り前だ。朝倉に向井の事を聞いてよく調べると、美月と色違いのお揃いのコップと同じ種類の色違いがキッチンボードに収められているし、その他にもお茶わんや箸まであった。
これまでキッチンの物は美月が揃えてくれていたから、どれが美月が選んだものでどれが向井が持ち込んだ物なのか分からなかったから。


「だから、これ。」


俺がテーブルに置かれたジュースの横の紙コップを指さすと本当に呆れた顔をされた。


「ご飯、何か買ってこようか?」

「うーん、それなら食器とか買いに今から行こう。昼はハンバーガーでも途中で食べるから夕飯作ってよ。」

「・・・、ねえ、家具家電も買い替えてるのに大丈夫なの?」


うっ、痛いとこを疲れたな・・・。
親に負担をあまりかけたくないと家賃以外の生活費は自分で稼いでる彼女には言いずらいが・・・。


「親に出世払いで出して貰った。俺の今後の運命を決める分かれ道だからって。」

「はあ?・・・、じゃあ頑張らないとね。買い物行こっか。」


俺たちは駅前のショッピングセンターでとりあえず必要な用品と夕飯の買い物をして回った。




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