俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
美月と会うのが週に一度、酷ければ二週間会えない事も。

四年の夏を過ぎた頃からは叔父である有知商事の現社長が俺を早く育てようと自分の出張などにも同行させる事が多くなったから。


「社長、俺も卒論しなきゃいけないんですけど。もう少し休み貰えません?」

「締め切りは?」

「十二月の一週目、四日です。」

「んー、卒論がダメで留年は困るなー。・・・よし!十一月は一か月休んで卒論を仕上げろ。それまで十月いっぱいで一か月休んでも困らないように仕事を片付けろ。」


はあ、結局は余る時間は無いって事だろ。

美月成分、足りねー。今すぐ美月を抱きしめたい。

俺はこの時、忙しさで自分の事しか頭になかった。
美月が不安に思ってることも気づかずにいた。


何とか卒論も期限内に提出し合格がもらえ、やっと美月との時間がとれると思っていたが願いは叔父の辞令によって砕け散った。


「祐世、勉強のために十二月十日から関西支社に行ってこい。」

「はっ?」

「向こうの営業部長の下で勉強して来い。んー、期間は二月末まで。大学はもう行かなくてもいいんだろ?」

「いや、まあそうだけど。急に言われても・・・。」


関西支社にも話はしてあるらしく俺の意見は通らなかった。

そして結局、美月に詳しい話をする時間もなくそのまま大学の卒業を迎えた。




< 80 / 167 >

この作品をシェア

pagetop