俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
四月一日、新しい生活が始まった。
有知商事の入社式はそれぞれの勤務地へ本社からリモートで中継を繋ぎ行われる。だから私と同期の新入社員は全員で五十八名いるのだが、ここ本社勤務の新入社員は三十二名だ。

先月末に入社後の配属先は知らされている。
私は秘書二課。
秘書課は二つに分けられていて一課が重役などの専属秘書たちが属する。ここへは二課で経験と実績を積み認められなければ移動できないらしい。そして私の行く二課はそれぞれの課の課長の秘書兼、課全体の秘書さん?要は何でも屋?って感じがする。
来客や接待、会合などに秘書として出席などの事はもちろんだが、社内にいる時は電話対応、PC作業、経費精算とする事は配属先の課によってさまざまらしい。
二課に配属は決まったものの、どの部署に配属されるかは明日以降行われる二週間の研修の後に決定される。


「あっ、美月!」


声をかけられ振り向くとインターンで一緒だった高橋美那子だった。


「美那!あなたもここに決めたのね。」

「そう。さっき向こうで横井もいたわよ。」

「そうなの?」


入社式が始まるまで美那とあのインターンの後の就活の話をした。


「そっか、美那は広報課かー。私は秘書課なの。」

「うん、美月っぽいね。あの時もみんなのサポート上手かったもんね。横川は営業みたいよ。」




昼食の時間になった。

美那と横川君そしてグループは違ったが同じインターンを受けていた森内君と一緒に食堂でお昼をとる事にした。


「新入社員三十二人の内あのインターン参加者が四人もいるって凄くない?」


美那の言う通り八分の一の割合で合格って凄いと思う。
確かに凄くハイレベルなインターンだったけど。

そんな中に私が入っているのが不思議な感じだ。


「いや、他にもいるぞ。」

「えっ?今日いないよ?」

「ここじゃなくて、坂上と他のグループだった奴が関西支社でもう二人、九州だったかな?二人いたはずだ。」


凄い、今年の新入社員五十八人の内九人があのインターン生なんて。


「まあ今年は他にも例外がいるけどな。」

「例外?」

「ああ、次期社長候補として社長の甥っ子が入ってるらしい。まあ俺らと違ってそいつは去年から大学行きながら仕事覚えてたらしく、今日の入社式には出席してないけどな。」

「へーっ、横井君よく知ってるね。」


この時は何も考えず、何も知らずにただ感心するだけだった。


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