俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
祐世から電話が金曜日にかかってきてからほとんど寝れずに日曜日を迎えた。
昨日も頭の中でグルグルと色々考え込んでしまい七菜に連絡を取ろうと思ったが、以前私を心配して実家まで会いに来てくれた事を思い出し連絡するのを思いとどまった。

私の新しい家を祐世は知らないので待ち合わせは駅に十一時。

十分早く駅に着くと既に彼は待っていた。


「こんなに近くに住んでるのに久しぶりだな。」

「うん。」


会話を続けることが出来ない。


「今日って夜まで大丈夫?俺さ、見たい映画があるんだよね。昼ごはん食べて映画見てぶらぶらしない?夜はあの店予約してあるんだ。久しぶりに行こうよ。」


夜まで大丈夫?って聞きながら既にディナーの予約済みって・・・、祐世らしい。


「いいけど、話があるって・・・。」

「あー、落ち着いて話聞いてほしいし、久々のデート楽しんでからの方がいいかな?」


デートを楽しむ?別れ話する前に?わけがわからない。

もういいや、頭の中でいくら考えても祐世の考えがわからないから彼に今は流されておこう。
最後かもしれないデートを楽しもう。

映画を観てその後は目的もなく店を見て回り買い物を楽しんだ。
そして少し早めの六時にあの店に久々にやって来た。
私の誕生日を祝ってくれた思い出のあの店moment de joie。

来るのはいつぶりだろう、初めて訪れて以来二カ月に一度は少なくとも訪れていたのに、最後に来たのは去年の夏ごろに来た以来か・・・。


「いらっしゃいませ。お久しぶりね、美月ちゃん。」

「こんばんは。本当にお久しぶりです。」




食事が始まっても祐世はまだ本題に入るつもりはないらしい。



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