幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
『わ……のた…な……を……て』


細い細い、女の人の声。


耳元で囁かれたそれが、あたしの鼓膜を震わせた。


同時に首元を這う冷気。


「やっ…」


悲鳴を上げたのは美保さんだった。


あたしだけに聞こえたわけじゃないってこと?


“いる”んだ。


何かが、この部屋に。


ガタガタとドアが揺れ始める。


換気のために開いていた通気口が激しい音を立てて開閉し、おびただしい数の足音が部屋中にこだました。


ドンドンドンと何かを叩くような音とともに、唸るような地響きがあたしたちを包む。


「どうなってるの、これ!?」


全部、誰も触ってないのに…!


なのになんで勝手に動くんだろう。


「だめだ、ドアも開かない」


白川先輩はドアノブをガチャガチャと回すけど、ドアはビクともしない。


「閉じ込められたってこと?」


美保さんの言葉に、あたしは身震いした。


誰が?


岩橋さん?


じゃあ、この地響きは?


それに岩橋さんだって、誰かに突き飛ばされたみたいだったじゃないか。


「人じゃないなら、これは一体何……?」
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