幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「気になることが2つあるんだよ」


「探偵みたい」


「馬鹿」


あっさり切り捨てられてあたしは小さく舌を出す。


白川先輩はごほん、と咳払いをしてあとを続けた。


「ひとつ。なぜ部室で起こった怪奇現象を“呪い”だと言うのか。呪いっていうのは呪う人間とその対象になる人間がいるはずだ。対象は演劇部だとして、呪う人間は?心当たりがなければ、怪奇現象イコール呪いとはならないんじゃないか?


ふたつ。女の正体。なんで演劇部が対象にされて、そこに女の霊らしきものが出るのか。しかも今までポルターガイストが起こっていなかった場所に突然、だ。これが分かれば、何となく呪いとやらも解明できそうな気がする」


確かに。


当たり前に受容してたけど、何か恐れる対象があるから呪いになるわけで、いきなりこれは何かの呪いだってなるのはちょっと不自然かも。


それに部室に出るのが毎回女の人ってことは、あの場所か演劇部に何かしら思うところがある人ってことだ。


心当たりは?と問われた岩橋さんは、ほんの少し考える素振りを見せ、口を開いた。


「千尋さん……」


「千尋さん?」


「26年前に亡くなった演劇部の部員なの。皆は千尋さんの呪いだって言ってた気がする」
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