幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「どちらにせよ、もう少し情報があればいいんだけれど……」


美保さんがホワイトボードに目を遣った時、生徒会室のドアが勢いよく開いた。


突然のことに、あたしたちは目を丸くする。


「京子先輩!」


ばたばたと駆け込んできたのは演劇部の活動着に身を包んだ1人の少女だった。


その顔は走ってきたというのに蒼白だ。


「ねね先輩と亜紀先輩がっ!」


「どうしたの、落ち着いて」


岩橋さんが腰を上げて落ち着かせようとするけど、彼女は震えながらぼろぼろと涙を零した。


「舞台から落ちて足を捻挫して……っ」


岩橋さんを探してここまで来るってことは相当酷いのかな。


彼女の先輩なら3年生か。


しかも2人。


「手当はしたんでしょ?」


「それが、足首に手形がついてるんです!2人とも!」


「え……」


その場の空気が一気に凍りつく。


足首に……手形?
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