幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
始まりの呪い
「夏休みだって言うのに、なんで学校来なきゃいけないかなぁ」
冷房の風で冷やされた長机に突っ伏して、あたし───金森遥は盛大に溜息を吐いた。
蝉の声が喧しい8月。
夏休みの宿題をちゃちゃっと終わらせて家で優雅にアイスを堪能するはずが、あたしは今生徒会室にいる。
もちろん、机に広がっているのは宿題だ。
「しょうがないだろう。今年から夏休みは生徒会が各部活の鍵の返却を管理することになったんだから」
そう言って白川先輩はエアコンの温度を1度下げる。
さっき見た時は24℃だったはずだけど、一体どこまで下げるつもりなんだ。
って、そもそも生徒が勝手に温度設定しちゃダメだし。
「だって、元は先生の仕事だったじゃないですか。なんであたしたちが」
「まぁ、今のところ生徒会って閑職だからねぇ」
美保さんは書類から顔を上げて、苦笑いをする。
何を隠そう、あたしたちはたった4人の生徒会役員なのだ。
会長の白川先輩に、副会長の美保さん。
部屋の端で音ゲーに興じている会計の藤原と、宿題に手を焼いている庶務のあたし。
新入生歓迎会の時に必死で勧誘したけど、集まったのはあたしと藤原の2人だけだったらしい。
4人じゃ最低限の仕事しかできないってわけだ。
それを不憫に思ったのか、先生は生徒会に地味に面倒な仕事を寄越してくれた。
冷房の効いた部屋にいられるのは嬉しいけど、わざわざ暑い中、1時間かけて学校に来なくちゃいけないから、正直言って最悪。
冷房の風で冷やされた長机に突っ伏して、あたし───金森遥は盛大に溜息を吐いた。
蝉の声が喧しい8月。
夏休みの宿題をちゃちゃっと終わらせて家で優雅にアイスを堪能するはずが、あたしは今生徒会室にいる。
もちろん、机に広がっているのは宿題だ。
「しょうがないだろう。今年から夏休みは生徒会が各部活の鍵の返却を管理することになったんだから」
そう言って白川先輩はエアコンの温度を1度下げる。
さっき見た時は24℃だったはずだけど、一体どこまで下げるつもりなんだ。
って、そもそも生徒が勝手に温度設定しちゃダメだし。
「だって、元は先生の仕事だったじゃないですか。なんであたしたちが」
「まぁ、今のところ生徒会って閑職だからねぇ」
美保さんは書類から顔を上げて、苦笑いをする。
何を隠そう、あたしたちはたった4人の生徒会役員なのだ。
会長の白川先輩に、副会長の美保さん。
部屋の端で音ゲーに興じている会計の藤原と、宿題に手を焼いている庶務のあたし。
新入生歓迎会の時に必死で勧誘したけど、集まったのはあたしと藤原の2人だけだったらしい。
4人じゃ最低限の仕事しかできないってわけだ。
それを不憫に思ったのか、先生は生徒会に地味に面倒な仕事を寄越してくれた。
冷房の効いた部屋にいられるのは嬉しいけど、わざわざ暑い中、1時間かけて学校に来なくちゃいけないから、正直言って最悪。