幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「ちょ、ちょっと待って。手形ってどういうこと?それにねねと亜紀は今日舞台練習じゃないでしょ?」


「さっき日菜子先輩が委員会で呼ばれちゃって、青役の相手がいなくてしょうがないから、2人が嵐役の代役をして下さってたんです…っ。そしたら2人とも急に舞台下に引っ張られたみたいに落ちて、それで2人の足首に人の手の跡が…っ。先輩もう無理です、こんなの絶対おかしい!」


叫び声に近い訴えに、あたしたちは顔を見合わせる。


確実に、酷くなってきてる。


対象が物から人に移り始めたんだ。


ただの偶然?


それとも、あたしたちが動いたから?


「とにかく、私も保健室に行くから。理香は体育館戻って今日の部活は早く切り上げるって伝えて来て。身の入らない練習に意味は無いから」


「嫌です、1人で戻りたくない。もう帰りたい」


理香と呼ばれた彼女は酷く憔悴しているみたいだった。


その場にしゃがみ込み、ガクガクと震える。


その異常さが、事態の凄惨さを物語っていた。
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