幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜

あたしは誰もいなくなった体育館の床に腰を下ろす。


ねっとりと絡みつくような暑さと淀んだ空気に、嫌な汗が背中を伝った。


少しの緊張が体全体に伝わって、指の先が冷たかった。


舞台を眺めつつ、あたしは思考を整理する。


舞台を確かめた時、引っかかった理由が知りたかったのだ。


「何も無い舞台から落ちた2人、嵐役の代役、足首の手形……」


関係があるようでないような。


舞台は広くて、十分に動ける空間があった。


普通にしていれば落ちるはずはなくて、嵐役の2人は引っ張られたみたいに舞台下に引きずられた。


「……どうして嵐役だったんだろう」


この体育館にはたくさん生徒がいたはずだ。


里香さんだって、青役の相手がいないから代役を立てたって言っていた。


別に、被害を受けるのが嵐役の2人でなくてもよかったんじゃないだろうか。


それなのに他の人は無傷で、嵐役の2人だけ、舞台から引きずり落とされた。