幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
美保さんの怖いところは、毒を笑顔で吐くところだ。


たぶん、生徒会の中じゃ白川先輩より普通に怖い。


だから、会長より副会長の方が強いっていうセオリーを、あたしは結構本気で信じていたりする。


言い淀んだ白川先輩と音ゲーに集中しているフリの藤原に、心の中で舌を突き出していると、美保さんがさてと、と声を上げた。


「プレハブ棟を見に行くかな」


「え、また行くんですか?」


「だって昨日はポルターガイストのせいで中はほとんど見れなかったじゃない」


確かにそうだけど、あそこに行くのは気が引けるなぁ。


でもあたし絶対参加だろうなぁ。


なんて、瞬時に考えを巡らせてげんなりする。


白川先輩も同じだったようで、細い息を漏らした。


「雅くんは出来れば参加して欲しいけど……どうする?」


「それ、俺に断る権限あるんすか」


「動かなくて情報が寄ってきてくれると思う?」


「……いえ」


藤原の返事に、美保さんは満足そうに頷いた。
< 29 / 75 >

この作品をシェア

pagetop