幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「毎日毎日宿題か鍵の返却なんてあんまりだぁ〜」


「うるさい。音が聞こえない」


「藤原は何しにここに来てんだって。ここにいるなら働きなよ」


藤原は基本的にずっとスマホゲームをしている。


藤原雅なんてどこぞの貴族かと思うような名前と、その名前に引けを取らない美貌は榊第一高校随一だというのに、本人は全くもって3次元に興味がない。


おかげで付いたあだ名が“観賞用”。


その観賞用の顔が、スマホから上げられる。


「仕事がないのにどうやって?」


……確かに。


鍵の回収は正午と午後5時だけでいいし、その間はほとんどすることは無い。


あたしは唸って腕の中に顔を埋める。


「金森、暇なら目安箱中身確認してきて」


手持ち無沙汰にエアコンのリモコンを弄びながら白川先輩が言う。


「えぇー、廊下暑いじゃないですか」


「宿題手伝ってやってるんだ。それくらいの報酬は貰いたいな」


「うぅ……」


「それとも個人的な頼みごとの方がいい?そうだな、俺今アイス食いたいからコンビニでパーゲンダッツを」


「分かりましたよ!ちゃんと確認してきますっ!」
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