幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「随分古い部屋ね」


美保さんがポツリと呟いた。


汚いとかボロいとか、そういう意味ではなくて、ずっとここにあったんだろうな、みたいな小道具がたくさん仕舞われているのだ。


壁も日に焼けて、ほんの少し黄ばんでいる。


「高校が設立されて直ぐに出来て、ずっとここを使ってるらしいからな」


白川先輩はラックに収められた段ボールの中を確かめながら言った。


昨日、崩れてきた段ボールだ。


中は色んな柄の布で、そこそこの重量だったから、あれが脳天に落ちてこなくて良かったと、あたしは肝を冷やした。


ただでさえ悪い頭が、これ以上悪くなったら堪らない。


「雅、ドア動いたりは?」


「してません」


「気まぐれなやつだな……」


聞くところによると、ポルターガイストが起こるのは時間を選ばないのだそう。


突然始まって、突然終わる。


だったら人も選ばないのかと思えば、昨日みたいに嵐役の人だけが狙われたりする。


全くもって不可解だ。
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