幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「京子先輩、まだですかー?」


部室の外から、岩橋さんを呼ぶ声が聞こえた。


腕時計を見ると11時半を過ぎていて、そろそろ午後の部活が集合し始める時間帯になっていた。


「そうだ、衣装取りに来たんだった」


岩橋さんは本来の目的を思い出したらしく、正面の衣装ラックから、日菜子先輩が昨日身に着けていたブルーのワンピースを手に取る。


「あ、それすごいですよね。昔の嵐役の……満島さんでしたっけ?が作ったんですよね」


「うん。でものどかさんは嵐役やってなかったはずだけど……」


あれ?


でも日菜子先輩はヒロインに選ばれたって言ってたような。


「京子せんぱーい、早くしないと先生来ちゃいますよー!」


「はーい!……ごめんね、ゆっくり……ってわけにもいかないと思うけど、自由に調べてもらって構わないから。……今行くー!」


岩橋さんはバタバタと慌ただしい様子で部室を後にした。
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