幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「金森、どういうこと?」
藤原が尋ねる。
「あ……昨日日菜子先輩に会って、嵐役の衣装を作った人のこと教えてくれたんだ。30年くらい前に初めてヒロインを演じたって聞いてたんだけど……」
「少なくとも、この落書きには名前はないな」
白川先輩が壁の文字に目を通すけど、視線は壁を滑るだけで止まることはない。
「うーん、日菜子先輩勘違いしてたのかな」
「お前の記憶違いだろ」
「うるさいな」
「まぁまぁ、2人とも。時間も時間だし取り敢えず生徒会室に戻らない?私あまりここに居たくないな」
暑いし、と付け加えられた言葉に、あたしは苦笑いをする。
うちの生徒会は暑さにめっぽう弱いらしい。
たとえ心地いい気温だったとしても、いつポルターガイストが起こるか分からないこんなところ、居たくないけど。
鍵の回収の時間も迫ってきていることだ。
早く戻って涼むのが得策だろう。
「冷房が恋しい」
全員がそう言いながら、あたしたちは部室の外へと足を向ける。
あたしはドアを抑えていたから必然的に最後に部屋を出ることになったのだけど……。
藤原が尋ねる。
「あ……昨日日菜子先輩に会って、嵐役の衣装を作った人のこと教えてくれたんだ。30年くらい前に初めてヒロインを演じたって聞いてたんだけど……」
「少なくとも、この落書きには名前はないな」
白川先輩が壁の文字に目を通すけど、視線は壁を滑るだけで止まることはない。
「うーん、日菜子先輩勘違いしてたのかな」
「お前の記憶違いだろ」
「うるさいな」
「まぁまぁ、2人とも。時間も時間だし取り敢えず生徒会室に戻らない?私あまりここに居たくないな」
暑いし、と付け加えられた言葉に、あたしは苦笑いをする。
うちの生徒会は暑さにめっぽう弱いらしい。
たとえ心地いい気温だったとしても、いつポルターガイストが起こるか分からないこんなところ、居たくないけど。
鍵の回収の時間も迫ってきていることだ。
早く戻って涼むのが得策だろう。
「冷房が恋しい」
全員がそう言いながら、あたしたちは部室の外へと足を向ける。
あたしはドアを抑えていたから必然的に最後に部屋を出ることになったのだけど……。