幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「で、今日は何するんですか?あたし、また部室に行くのだけは勘弁願いたいんですけど……」


「俺も願い下げだ。……正直、何をどう動いていいか分からない。何せ、ヤツが嵐役に強い拘りがあるってことしか分からないからな。岩橋さんに、ポルターガイストが起こるようになったきっかけに心当たりはないか尋ねても、首を振るばかりで情報が集まらない。おまけに人の被害も俺たちにまで及ぶようになった」


「ミイラ取りがミイラになっちゃ、本末転倒だものねぇ」


美保さんも額に手をやる。


なんだか、常に悩んでる気がするなぁ。


初めて話を聞いた時は、怖かったけど、どこか好奇心が揺れ動いて、例えるなら肝試しをするような高揚感もあったりして、探偵みたいだなって思ってたんだけど。


実際は非現実的なくせに散々な目に遭って、空回り感が否めない。


ずっとチューニングが合っていないような感覚が、解決を遠ざけているんだ。


「しばらく待機、だな」


白川先輩が頭を搔く。


このまま、解決しなかったらどうなるんだろう。


ポルターガイストはもっと酷くなって、誰かが大怪我をするようなこともあるかもしれない。


怪我だったらまだいいけど、最悪の事態が起これば取り返しがつかない。


あたしや生徒会のメンバーだって、それに巻き込まれるかもしれないんだ。


焦りが、心の中に積もっていく。


焦ったってしょうがないことくらい、馬鹿なあたしでも分かるけど、なにか動いていないと、くだらないことばかり考えてしまう。


『もし』から逃れるように、あたしはかぶりを振ってホワイトボードに手を伸ばした。
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