幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「何か特筆することあった?」


何やら細々とメモの整理をしていた美保さんが、顔を上げて小首を傾げる。


「あ……いえ、この間理香さんが来た時から放置だったじゃないですか。何が手がかりになるか分からないから、小さなことでもこまめに付け足しておこうと思って。どうせすることもないですし」


「そうね。私も手伝うわ」


美保さんが椅子から立ち上がる。


「白川くんは?なにか書くことあれば」


「いや、俺調べることがあるから後で足しとく」


白川先輩の手元には宗教絡みの小難しそうな本が数冊積まれていた。


よく見ると、除霊に関わるものからオカルトチックなものまで各種揃っていて、白川先輩も焦っているんだと思うと、少しだけ安心した。


見当違いかもしれない。


意味が無いかもしれない。


それでも、あたしたちはできることをするしかないから。


あたしはマジックペンの蓋を開けて、不可解な現象について黒文字を走らせ始めた。
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