幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
ただ、と白川先輩は難しい顔をする。


「少し、弱い気がする」


「弱い?」


「やりたかった役が出来なかった、なんて演劇部ならざらにあると思うんだよ。なら何故もっと早くに異常が出なかった?」


「うーん、言われてみれば……」


演劇部は長い歴史を持つ部活だ。


これまでに同じような状況になって、共鳴して、ポルターガイストが起こっていたって不思議じゃない。


それなのに、今まで演劇部に幽霊がいるなんて噂、少なくともあたしは聞いたことがない。


じゃあ、何が急に異常を生み出したんだろう。


またあたしたちは頭を悩ませる。


こういうの、一進一退って言うんだっけ。


解決のチャンスだと思ったんだけどなぁ。
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