幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「ひかり、このまま部活来ないのかな」


「そうなったら日菜子のせいだよ。本当にムカつく」


「あの時骨折るくらいしとけばよかったのに」


「あの時っていつだっけ?」


「ほら、6月の上旬の。一緒に部室の荷物崩れるように細工したじゃん」


あたしはえ、と小さく漏れた声を右手で押える。


ありえない。


それが本当だとしたら、嫌がらせの域を超えている。


部室のラックにあった荷物は全部重たげで、何かあったらどうするつもりだったんだ。


体の奥底が熱く燃える。


こんなの絶対許せない。


「あぁ。あれは最悪だったね。日菜子は打ち身で終わったし、ひかりがやったんじゃないかみたいになったし」


「私たちも日菜子に謝んなきゃで屈辱っていうか。周りもあからさまに避けてくるしね」


「日菜子派のやつらってまだひかりのせいだって思ってるのかな?」


「さぁ。でもまぁ、脳内お花畑だよね」
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