幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
くすくす。くすくす。


悪口を言うときの笑い方って、どうしてこんなに嫌な感じなんだろう。


話の前後が分からなくても、あぁ、この人たちは今誰かの悪口を言ってるんだって、すぐに分かるような。


あたしは腹が立って悔しくて、3人に背を向けて両手をぐっと握り締めた。


部員を想って心を痛めている岩橋さんや、努力を認めて貰えない日菜子先輩、3人の嫌がらせの濡れ衣を着せられたひかりさんが、心の底から不憫だった。


「私は嵐役を望んじゃいけないの?私は……私は必死でもがいて……なんで……っ」


微かに聞こえた声に、ハッと顔を上げる。


慌ててドアの隙間から廊下をそっと伺うと、日陰になり薄暗い廊下に、日菜子先輩が立っていた。


日菜子先輩は唇を歪め、瞳の端に涙を浮かべてバルコニーを睨んでいた。


そうしないと涙が零れ落ちそうだったのか、怒りの色があったのか、あたしには分からなかった。


あたしはやるせない思いで、ただ日菜子先輩を見つめていた。
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