幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜



「随分遅かったな」


生徒会室に戻ると、白川先輩が冷房の温度を下げながらあたしを振り返った。


「はるちゃん、お腹でも壊した?」


「違いますよぅ。ちょっと気になることが……ってあれ?岩橋さん?」


生徒会室には岩橋さんが来ていて、中央にある会議テーブルの端にちょこんと腰掛けていた。


軽く会釈すると、岩橋さんはこんにちはと返してくれる。


「何かあったんですか?」


「様子を聞きに来てくれたんだって。ちょうどホワイトボードの内容を説明したところ」


美保さんが岩橋さんの代わりに答えて、あたしはあぁ、と適当な相槌を打った。


岩橋さんにいい報告が出来ないのは、あたしたちが不甲斐ないからだ。


もう調査も3日目。


夏休みの終わりも、すぐそこまで迫ってきている。


このままじゃ、あたしは本当に探偵ごっこをしていただけだ。


「金森さん、怪我したって……本当にごめんなさい。大丈夫?」


おまけに岩橋さんはそう言って謝る。


あたしは懸命に首を振って、岩橋さんのせいじゃないと伝えたけど、岩橋さんは眉を下げて心配そうにしていた。
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